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株式会社エス・ピー・エー
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SPA設計 代表
太田 裕之( おおたやすゆき )
日本建築家協会会員
一級建築士
一級建築施工管理技士 |
用の建築/アノニマスな背景
ホスピタリティ用途に限らず建築とはなんでしょうか。
それは設計者の自己実現のためのものではありません。
それは建築主のものであり、竣工までは、設計者がお預かりしているだけです。
それは建築主のためだけのものでしょうか。
いいえ、建築主のためだけのものではありません。
それはその建築を利用する人々のためにあります。
建築主はただその空間を提供しているだけです。
少なくとも、数十年。時には数百年から千年に及ぶ時間、建築はその利用者や、
その建築を意識しない人々にさえ「人生の背景」として空間を提供しています。
その中で暮らしたり、仕事をしたり、楽しい時間を過ごしたり、
待ち合わせをしたり。
たとえば、その建築がホテルなら、主人公は、そのホテルのお客様です。
はじめて、両親を旅行に誘った子供の家族と、それを誇らしく感ずる老夫婦がいます。
数十年ぶりに顔を合わせる懐かしさに紅潮した、もと少年の顔があります。
なんとか接待を成功させ、仕事につなげたい真剣な目があります。
そんな主人公たちにホテルは無言の背景を提供します。
たとえば、その建築が保育園なら、もちろん主人公は子供たちです。
光が差しこむ部屋の中で走り回った時間がその後どんな意味があるのかを、
両親も、保育士も知っています。
健やかで安全な子供たちの成長を願わずにはいられません。
たとえば、その建築が老人ホームなら、ゆっくりと人生を振り返る主人公達がいます。
その時間を見守る目があります。
こんなことがありました。
竣工後まもないある旅館で、お見送りから帰ってきた客室係の女性が目を真っ赤にしているのです。
「車椅子の方が、生まれてはじめて露天風呂に入ったと、とても喜んで下さいました。
また来るといって、パンフレットから箸袋まで胸に抱くようにして持って帰ってくださったんです。
この仕事をやってて本当に良かった・・・」と言うのです。
その旅館には、車椅子で入れる露天風呂を用意してありました。
私たちにとっても、こんなにうれしいことはありません。
お客様の喜びが、旅館のスタッフや経営者の喜びや収益につながり、
そしてその結果が、私たちの仕事と喜びにつながるのです。
建築を作品として建築主に問い、社会に問うのではなく、
建築の利用者から建築主へとだんだんに喜びをわけてもらえる、
私たちはそのように建築とかかわりたいと考えています。
私たちは「SPAらしい作品だ」とお褒め頂くことが最大の誇りだとは思いません。
「○○さん(建築主)らしい建物だ。良い時間を過ごせた・・」と建築を利用した人に感じてもらえること、
そしてそれによりオーナーが高額な投資である建築を自信をもって運営管理して行けることを、
最大の喜びにしたいと考えております。
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